以前に投資信託についてご紹介しました。
特にインデックス投資信託は少額から分散投資ができるため、投資を始めるときにおすすめです。


とは言え、投資信託は日本だけでもおよそ6000本もあります(出典:投資信託協会)。
その中からどの投資信託を選べばいいのかは難しいため、人気ランキングなどを参考にして選ぶ方もみえるのではないでしょうか。
しかし、ランキングはあくまでも「人気」ランキングであり、それを買って儲かるのかどうかは別問題です。
この記事では、投資信託を選ぶ際のコツについて3点ご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
結論

ランキング上位にはこの3点に合致しないものも入っている場合があります。
投資信託の選び方とは
投資信託を選ぶ際のポイントは何点もありますが、特に重要な点を3つあげました。
インデックス投資をする場合、この3点の条件を満たす投資信託を選び、毎月コツコツと積み立てていけばいいでしょう。
良い指数を選ぶ
まず最も重要な点は、どの株価指数に連動する投資信託を買うかということです。
インデックス投資とは、インデックス(株価指数)に連動するように設計された投資信託を購入することで、市場全体に分散投資をする方法でした。
そのため、良い指数を選ばなければ、資産は増えていきません。
ここで言う良い指数とは、成長性が見込まれる(株価の上昇が見込まれる)ということです。
ただし、将来の成長性がある株価指数なんてわかりません。
それではどうしたらいいでしょうか?
考えられる方法は2つあります。
1つ目は全世界に連動する株価指数に投資をするという方法です。
IMF(国際通貨基金)が毎年の世界経済の成長率見通しを発表しています。
それによりますと、2021年は6.0%、2022年は4.4%となっています(出典:IMF)。
これは2020年が新型コロナウイルスの影響があったため、大きな数字になっていますが、これまでも世界経済の成長率はおおむね3~4%の間で推移してきました。
つまり、全世界に投資をすることで、その成長率を享受することができるという訳です。
そのためには全世界に連動する指数を選ぶ必要があります。
その指数としては、
・MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス
・FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
などがあります。
もう1つの方法は全米に連動する株価指数に投資をするという方法です。
なぜアメリカなのでしょうか?
それはアメリカが世界経済の中心だからです。
下図は先ほど紹介した全世界に連動するMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスに投資をする投資信託の運用報告書にある投資対象の国の構成比率です。
見てもらえばわかるように、全世界と言いながらおよそ6割はアメリカが対象になっています。
それもそのはずで、いまをときめくGAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)はすべてアメリカ企業ですし、GDPもアメリカがぶっちぎりで1位です。
そのため、アメリカだけに投資をしておけばいいという考え方になります。
そうすることで、全世界に含まれる成長率が低い国を除外してより高い成長を見込めるという考え方です。
全米に連動する株価指数としては、
・S&P500インデックス
・CRSP USトータル・マーケット・インデックス
などがあります。
全世界か全米に連動する株価指数を選ぶようにしましょう。
運用コストが安い
つぎに大切な点は、運用コストが安いということです。
インデックス投資をする場合、目安として購入手数料無料(ノーロード)、信託報酬は少なくとも0.3%以下が望ましいです。
運用コストには大きく2種類あります。
投資信託を購入する際の手数料と、信託報酬(運用管理費用)です。
正確には信託財産留保額というものもありますが、ここでは割愛します。
購入する際の手数料は、その名の通りで投資信託を購入するときに1度だけかかる費用になります。
ただし、最近ではこの費用はかからない投資信託も多くあります。
そういった投資信託のことをノーロード(またはノーロード・ファンド)と言います。
信託報酬は投資信託を保有している間、ずっとかかる費用になります。
運用管理を委託している性質上必ずかかる費用です。
運用コストは投資信託の成績に関係なく、購入時や毎年かかってくるものになります。
そのため、コスト意識には敏感にならなければ、いつまで経ってもお金が増えてくれません。
投資信託の中には購入手数料や信託報酬が2~3%といったような、悪い意味で驚くべき投資信託もあります。
こんなに高ければ運用コストだけで毎年お金が減っていってしまいます。
そんなことをするくらいであれば、預貯金で持っていた方がまだマシです。
運用コストには充分気を付け、なるべく安いものを選びましょう。
純資産残高が大きい
純資産残高は投資信託を買った人たちの資金の合計、つまり投資信託の規模の大きさを示しています。
投資信託を安定的に運用していくためには、ある程度の規模が必要です。
規模が小さいと多くの銘柄に資金を振り分けることができず、分散効果が小さくなってしまいます。
通常、純資産残高は30億円以上あったほうが安心できると言われています。
できれば100億円以上の規模のものを買うと更に安心できてよいでしょう。
実際にどんな投資信託がよいか
では実際に投資信託を買う場合、具体的にどういったものがいいでしょうか。
- 全世界 or 全米に投資をする
- 運用コストが安い
- 純資産残高が大きい
この3つの条件に合致するものとしておすすめできるものは、
・eMAXIS Slim米国株
・eMAXIS Slim全世界株式
・楽天全米株式インデックスファンド
・楽天全世界株式インデックスファンド
などがあります(ただし楽天証券で購入する場合)。
この4つについてもう少し具体的にみてみましょう。
この4つの投資信託は、全世界を対象にしたものと全米を対象にしたものとがそれぞれ2本ずつです。
そして、どれも購入時の手数料は無料です。
信託報酬はおおむね0.2%以下であり、eMAXIS Slim米国株式では0.1%を下回り、運用コストとしては、とても安いものです。
さらに、純資産残高は100億円を優に超えて、1000億円を超えているものもあります。
全世界や全米に連動する指数を目標とし、運用コストは安く、資産規模が大きいため安心して購入することができるでしょう。
こうした投資信託を毎月定額で積み立てていくといいです。
連動する指数 | 購入手数料 | 信託報酬 | 純資産残高 | |
eMAXIS Slim |
S&P500 |
なし | 0.0968% | 3960億円 |
eMAXIS Slim 全世界株式 |
MSCI オール・カントリー・ ワールド・インデックス |
なし | 0.1144% | 1596億円 |
楽天全米株式 インデックス ファンド |
CRSP US トータル・マーケット・ インデックス |
なし | 0.162% | 2589億円 |
楽天全世界株式 インデックス ファンド |
FTSEグローバル・ オールキャップ・ インデックス |
なし | 0.212% | 906億円 |
こういった投資信託には注意!
上記のような、全世界や全米に広く、しかもコストは安く投資できる投資信託があります。
しかしその一方で、投資信託の人気ランキングにはしばしばおすすめできない(むしろ買わないことをおすすめっする)投資信託が顔を出します。
それがどういったものかというと、具体的な商品名は出しませんが、以下のようなものになります。
- テーマ型投資信託
- 毎月分配型投資信託
テーマ型投資信託とは、特定の業界やテーマに沿った銘柄を組み入れる投資信託のことです。
どんなテーマ型投資信託があるかというと、最近ではAIや5G、DX(デジタルトランスフォーメーション)といったバズワードに基づいたものが多い印象です。
販売会社の営業努力もあるのでしょうが、人気ランキングの上位に時折もちらほらと見かけます。
設定したテーマ次第では大きなリターンをもたらす可能性はありますが、当たり外れが大きいうえに、ファンドの売り手も買い手も短期志向が強く、多くの場合、長期での資産運用には向きません。
また、これらの投資信託は購入時の手数料だけで3.3%も取られ、さらに毎年の信託報酬も1~2%ほどかかるものが多いです。
初心者や長期での資産形成を考える人にとってはまったくと言っていいほど向いていない投資信託になります。
つぎに毎月分配型投資信託も人気ランキング常連の投資信託です。
毎月分配型投資信託とは、1か月ごとに決算を行い、収益等の一部を収益分配金(分配金)として毎月分配する投資信託です。
しかしこの投資信託も運用コストが高いうえ、最大のデメリットは、利益が出ていないときでも、元本を払い戻して高分配を維持していることです。
つまり、自分のお金を高い手数料を払ったうえで、払い戻されているだけです。
そんな商品を買うなんて、なんのこっちゃわかりません。
販売会社へお金をあげていることになっています。
毎月分配金があるという誘い文句に乗って購入すれば、ほぼ確実にお金が減っていきます。
これらの投資信託には手を出さないようにしましょう。
こういった投資信託は銀行や証券会社の窓口に行けばおすすめされる商品です。
それは購入者のことを考えずに、彼らの利益になるためです。
そのため、投資信託を買って投資をしようと考えたときは、ネット証券で買うようにしましょう。
最後に
投資信託の選び方についてご紹介しました。
ポイントは、以下の3点です。
・運用コストが安いこと(0.3%以下くらいを目安に)
・純資産残高が大きい(できれば100億円以上)
これらを満たす投資信託としては、
・eMAXIS Slim米国株式
・eMAXIS Slim全世界株式
・楽天全米株式インデックスファンド
・楽天全世界株式インデックスファンド
などがありました。
もちろんこの4本以外にも条件を満たす優良な投資信託はあります。
投資信託を選ぶ際の参考にしていただければと思います。
※最終的に何に投資をするかについてはすべて自己責任です。
その点はご理解のうえ、投資をしてください。
以上、投資信託の選び方についてでした。
・良い指数を選ぶ
・運用コストが安い
・純資産残高が大きい